持続的成長を実現している企業の勝ちパターンとは

持続的成長を実現している企業は、10社に1社

ベイン・アンド・カンパニーでは、過去10年間において売上も利益も成長し続けた持続的価値創造企業(Sustained Value Creators、SVC)をグローバルに抽出し、選ばれた企業の活動を綿密に観察、分析した。まずSVCの定義であるが、これはある10年間に、売上成長率5.5%以上、利益成長率5.5%以上、資本コストを上回るリターンという三つの基準を満たした企業である。そして、ベインが行った新興国と成熟市場を含む主要12カ国の2000社以上を対象にした分析によると、好況期でも、これらの基準を超える成長を実現した企業は、10社中1社の割合しかなかった。

これらのSVC企業がどのように成長を遂げてきたのかを知るために、われわれは経営慣行の特色やビジネスモデル、業績に関するサンプル企業200社のデータベースを作成し、数多くの経営陣へのインタビューを含む30件のケーススタディ、エコノミスト・インテリジェンス・ユニットとの共同実施による、世界377名の企業幹部へのアンケート調査などに基づく研究を行ってきた。そして、この膨大な研究を通じて得られた洞察を『リピータビリティ』(2012年、プレジデント社)にまとめた。その中で発表した、継続的成長を実現するための「再現可能な不朽のビジネスモデル」の原則は、以下の三つである。

1)明確に差別化されたコア事業
2)絶対に譲れない一線
3)循環型学習システム

まず、第一の明確に差別化されたコア事業であるが、これは顧客の目から見て明らかに差別化された商品・サービスに支えられたコア事業を磨き続けるということである。皮肉なことであるが、成長が期待される新市場ばかりを狙って経営資源を配分するより、既存のコア事業を磨き続けたほうが実は長期的に成長が期待できるのである。図1をご覧頂くとわかるが、持続的成長企業の9割が強いコア事業を持っている。さらに図2が示すとおり、競合相手を圧倒すればするほど、企業の資本収益率は向上する。とかく「どこで戦うか」ばかりに目がむきがちであるが、「どう勝つか」に心を砕くべきなのである。


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二点目の絶対に譲れない一線とは現場において自社の差別化を支える行動、例えば品質へのこだわり、コスト削減への執着、あるいは顧客を感動させるサービスの提供において具体的な従業員の活動を規定し、これを妥協なく徹底させることである。これを通じて顧客の目線からみて大切なことに対しての従業員の習熟度があがり、さらに顧客の支持があがるという好循環が生まれる。そのためには経営者が自らの言葉で、直接、何故、その仕事をやることに意味があるのか、さらに言えば、単に仕事や職場での意味だけでなく、自らの人生や生き方にも触れるような崇高なミッションとも絡めてコミュニケーションすることが必要である。

最後に循環型学習システムというのは顧客や時代の変化に対応して自らの差別化、希少性が失われていないかを常に確認しつつ、その変化に合わせてコア事業に修正を加えていくことを確認するための顧客からのフィードバックを体系的に集積し、これを読み解くシステム、能力を持つことである。

日本にも持続的価値創造企業は存在している

われわれが定義したSVC企業のなかには、もちろん日本企業も含まれている。直近の10年間でみるとグローバルよりも多少低くはなるが、それでも10社に1社に近い確率で存在している。例えば、産業財ではキーエンス、日東電工、日本電産、シマノ、消費財ではユニチャーム、アシックス、流通ではユニクロ、しまむらが代表的事例であるが、さらに特筆すべきはコメリ、バローなどの地方の流通企業なども入っていることである。これら個別企業の事例研究は『リピータビリティ』をご参照頂きたい。

グローバルニッチか、ローカルドミナンスか

「再現可能な不朽のビジネスモデル」の考え方は、激動の時期であっても、持続的に成長する企業をつくり上げるうえで大きな示唆がある。ここからは、日本の持続的価値創造企業をもう一段深掘りし、グローバルな原則に加えて、よりローカルな洞察がないか考えてみることとしたい。

コアテクノロジーを核としたグローバルニッチ

ここでは再現可能なビジネスモデルの観点から日東電工を取り上げたい。日東電工は「三新活動」という、新製品開発から新用途開発、新需要創造へと結びつけるマーケティング手法によって成長分野を広げている。「変化の激しいニッチ市場で優位を保つカギは、お客さまのニーズをすばやくキャッチし、独自の技術を活かして新製品を生み続けること。すなわち、『新用途』を開拓し『新製品』を開発することで『新需要』が創造され、新たな市場へと成長していくのです。これら三つの〝新〟が『三新活動』と呼ばれる当社のマーケティング活動です」と同社幹部が語っていたように、三新活動は同社の再現可能なビジネスモデルになっており、まさにDNAのレベルまで浸透させて再現可能になっている。

DNAとして組織に刷り込み、補強するために、売上に占める新製品比率という全社共通のKPI(主要業績管理指標)を設定し、本社が事業部をサポートする体制として全社研究開発プロジェクトを設け、社内に分散する技術を集約し、スピーディーに製品開発に結びつけるための仕掛けを本社がつくっている。さらには、「三新活動」の延長線だけではお客さまの真のニーズを引き出し、新たなイノベーションを生み出すことがむずかしくなったとして、2012年1月、日東電工豊橋事業所に「ソリューションセンター」を開設し、新需要の創造を継続的に実現するための仕組みを再現している。

日東電工では、コア事業・技術の周辺に新たな成長分野拡大のための再現可能なビジネスモデルをつくり上げている。技術主導のグローバルニッチ企業が継続成長するうえで、これは不可欠なことである。同様な技術主導型ニッチ企業へのコンサルティング経験のなかでも、これらの企業が成長軌道から外れていく理由の多くは、自らのコア事業・コア技術の外側に事業を拡大していく際に、再現可能なビジネスモデルをつくることができていない点にある。これらの企業は、顧客からさまざまな要請を受けて製品開発を行い、ニッチながらも高い顧客内シェアを維持し、顧客の成長とともに成長するというパターンが多い。

しかしながら、その顧客から依頼されたものを製品化することには長けるが、そこでの経験を新たな市場として想像・創造する力に欠け、目の前の顧客に神経を集中するがゆえに、新たな代替技術が生まれていることに気づかず(あるいは対応が遅れ)あっという間に競合に取って代わられてしまい、次の成長の柱もないなか、業績が突如悪化するというケースが多い。とくに、顧客の要望のままに商品化を重ねているあいだに、製品構成や事業構成が複雑化し、結果としてコスト増、会社としての意思決定も複雑になり、意思決定の遅延に伴う市場機会獲得喪失と相まって、業績悪化のスピードが加速されてしまう事例も少なくない。

コアテクノロジーを核としたグローバルニッチ企業として成長するためには、自らのコア事業・技術へのフォーカスと、コアを中心として新たな成長分野に進出していくための「再現可能な不朽のビジネスモデル」がきわめて重要になるのである。

地元客に寄り添って勝ち残るローカルドミナンス企業

一方、日本の持続的価値創造企業のなかに小売・流通企業が多く登場していることは、いくつかの点で大変興味深い(図3)。いわゆるこれらの流通企業は、内需型産業の代表格である。


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個別の企業名を見ると、前述の通り、地方企業が多いことに気づく。バロー、コーナン、コメリ、アークスなどは、主に地方でスーパーマーケット、ホームセンター、ドラッグストアを展開する流通企業である。日本の人口減や高齢化の代名詞のような地方市場を相手にして、他の日本企業を凌駕する成長を遂げた企業が存在しているのだ。

その成長のドライバーの一つは、縮小市場において買収や提携を通じた業界統合を進め、分散した一般小売業界の持つ非合理性を解消していることである。統合が進んだあとにさらなる成長ができるかは今後の課題であるが、それぞれの地元では圧倒的な存在感を示し始めている。たとえば、北海道・北東でスーパーマーケットを展開するアークスは、北海道内で30%以上のシェアを獲得している。これは、全国区企業のイオンよりも高いシェアである。

地域で圧倒的な存在感、地域ドミナンスを形成したこれらの企業は、それぞれの地域で高い知名度を有し、地元の消費者のあいだでは全国区の企業よりもより馴染みある存在となっている。ローカルブランドが全国区のナショナルブランドを凌駕するという事態は興味深い。消費者にとっては安心や信頼の印であり、高いブランドイメージを保持していたナショナルブランドの価値が希薄化してきているともいえるだろう。

地元顧客と馴染みの関係をつくることで顧客ロイヤルティを獲得し、成長を図るという戦略は、従来のナショナルブランドの成長戦略とは大きく異なる。従来は、市場が伸びていくなかで、規模も大きく認知度も高いナショナルブランドは、信頼も高いということと同義であった。その高い認知度や信頼をベースに、成長する市場を効率的にとらえるために、製造、販売、アフターサービスの各機能は分業体制をとり、製造、販売により厚く資源配分を行い、アフターサービスなど川下については十分な資源をかけずに、トラブル対応などの最低限の対応を行うという考え方で成長してきた。

顧客側からすると、分業体制になっているがゆえに、自らのニーズに商品のライフサイクルを通じて向き合ってくれる人の顔は見えないにもかかわらず、ナショナルブランドであるがゆえの価格プレミアムが発生しているという不合理が生じている。ましてや近年では、大手だから安心という神話がいろいろな事例で崩れ去っていくなかで、一層ナショナルブランドの提供する価値に疑問が呈されるようになっているといえる。地元顧客に焦点を合わせて顧客との接点を川上から川下まで社内に取り込み、「馴染み」関係の構築、すなわち相手のことを知り尽くし、信頼を裏切れば地元で商売が成り立たなくなるという緊張感のもとにビジネスを行うプレーヤーが、ナショナルプレーヤーに比しても高い顧客推奨度、認知度、信頼を獲得していっているのだ。

地元顧客との接点を担う現場に、トップは直接語りかけているか

先に挙げたローカルドミナンス企業は、顧客との緊密なコミュニケーションを図る店舗ネットワークを、それぞれの地域で張り巡らしている。地域の人々は日々、その店の看板を目にしながら生活する。人々が言葉を交わす店員もまた地元の人である。その店員が自らの職場に誇りを持ち、お客さまに対してかけがえのない存在たるべく真摯に行動することは、自らの存在意義の表現にもなる。そのようなコミュニティとの接近度合いや緊張感が、顧客に対して卓越したサービスを提供することにつながる。だからこそ、店頭の従業員に自社の差別化を心の底から理解させ、それを実現するための「譲れない一線」を明確にし、その実行に何の疑いもなく邁進してもらうために、自社の製品・サービス、そして顧客に対する経営の思いを心に響かせることが重要となるのである。

こうした経営の思いを従業員に届かせるためには、経営トップ自らが直接現場に対して語る以外に手段はない。メールやビデオなどを通じて現場に話しかけているというトップがいるが、これではまったく不十分である。トップが自ら語り、行動する姿を自分の目で見て、自分の耳で聞くこと以外で、従業員はその思いを心に感じることはできない。

仕組みの力か、オーナーシップのある現場の力か

こうして見てくると、ナショナルブランドとローカルブランドの戦いは、実は仕組みの力とオーナーシップのある現場の戦いといえよう。仕組みで運営しようとする企業は、複雑で理解不能な仕組みへの対応を強いて、現場を疲弊させ、その活力を奪う。そして疲弊した現場は顧客を遠ざける。その一方で、自社を差別化する活動に焦点をあてた企業、そして現場の仕事をより高邁な使命のなかで理解したモチベーションの高い現場社員のいる企業が、これらの顧客を次々に奪い取っているという構図になっているといえる。

創業者メンタリティの復活

実は日本の持続的価値創造企業には、創業者、あるいは創業者に近いメンタリティを持った強力なリーダーが多い。これは何を意味するのだろうか。その意味合いを考えるためにもう一度、三つの原則を振り返ってみよう。

1)明確に差別化されたコア事業
2)絶対に譲れない一線
3)循環型学習システム

こうした地味な努力を組織全体に継続的に取り組ませることができるのは、企業のトップ以外の誰でもない。それも、あたかも創業者のような目線で、自社の商品・サービスが顧客にとってかけがえのない存在として受け入れられているか、すべての現場が自社の差別化を体現するための行動を妥協することなく実施しているか、時代の変化が顧客にとっての自社のかけがえのなさを希薄にしていないか、それを補うにはどうしたらよいかという真摯な問いに日々心を砕き、思いの実現に向けて事業を継続的に磨き上げていくことに邁進するリーダーである。

創業者リーダー、あるいは創業者に近いリーダーが、再現可能なビジネスモデルを体現している企業に多く存在するということは、まさにそのモデルが創業者のメンタリティを必要とするからである。これはいまの日本企業にとって大きな示唆がある。いまや世界に知られる大企業となった日本企業も、元はといえば、一創業者が起こしたベンチャー企業であった。パナソニックしかり、ソニーしかり、トヨタ自動車しかり、本田技研工業しかりである。

その創業者の思いや創業者の目線を適応することで成長していった企業も、規模が大きくなり、事業が複雑になるにつれ次第にこれが希薄化していく。代わって、大きく複雑化した事業を管理するための仕組みやシステムが勝っていく。とくにこの20年くらいのあいだ、こういった事業を管理するシステムや仕組みはきわめて高度化されてきた。

日本企業が低迷するなか、経営の仕組みの欠如が叫ばれ、さまざまな経営指標や経営ツールが導入された。グローバルスタンダードが金科玉条のように言われたことも、グローバル出自のこれらの経営指標の導入を後押しした。さらに「説明責任」という言葉がどこからともなく表舞台に現れ、客観的な事実で対外的、対内的に説明できることが重要になった。

これに、コンプライアンスの仕組みが重層的に追加されてくる。これだけの経営管理の仕組みを動かすために、経営管理スタッフが増員され、次第に幅を利かせるようになる。経営トップも、これらのスタッフに依存せずにはこの巨大な経営管理機構を回していけなくなる。トップ自体の選出も、社内の利害調整とともにこの管理機構を回せる人物が優先されるとなると、これはもうリーダーが会社を動かしているのではなく、システムや仕組みが会社を動かしているのと同義である。

もちろん、経営管理の仕組み自体を否定するわけではないし、経営上必要な情報の不足が正しい判断に齟齬をきたすことがあるのも事実ではある。しかし、先に述べたような創業者の目線と比較してシステムや仕組みが圧倒的に勝つ場合に、再現可能なビジネスモデルは成り立たなくなり、結果的に企業は成長しなくなるのである。長い歴史を持つ多くの日本企業には、これと似たような現象が起こっている。

図4は仕組みを運営する「管理者メンタリティ」と「創業者メンタリティ」を対比したものである。


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まず、事業についていえば、創業者メンタリティのあるリーダーは、自らが手がけるコアの事業に対して妄執的といえるほどのこだわりがある。そしてそこでどう勝つか(How to win)ばかりを考えている。これに対して管理者メンタリティリーダーは、世間の話題の中心となるホットで新しい市場ばかりを見ようとする。そして、既存市場を深く追求することなく、ホットな市場に進出することを優先的に考える(Where to play)。どう勝つかを考えるリーダーにとって必要なのは、自らと思いを共有してくれる現場であるから、現場を自分の分身と位置づけて大切にする。自らの分身である現場が聞く顧客の声はすべて自らの耳で聞くことと同じである。必死に現場の言葉に耳を傾け、顧客が何を求めているかについて思いを巡らせる。一方、管理者メンタリティリーダーにとって現場は上位下達先の執行部隊にすぎない。したがって、現場が聞いた顧客の声に耳を傾けることはないし、信じようともしない。そして、外部の調査機関を使って顔の見えない顧客調査を行うのだ。残念ながら、現在はこの管理者メンタリティが優勢になっているといわざるを得ない。

ではどうしたらよいか。これは管理的システムを敵視し、対峙し、攻撃し、破壊することではない。まずは複雑性を徹底的に排除することである。複雑性を排除する過程で管理的システムは自然に姿を消す。たとえば、商品については、本当に顧客が支持しているものはどれか? 売上をあげるためだけに苦し紛れで生み出した商品はないか? 現場については、現場で顧客に価値を提供している単位は何か? 支店か? 営業マンか? その単位が顧客へ価値を提供するにあたって必要なものは何か? そのような目線で見れば、顧客への価値提供に無関係な業務やシステムは不要といえる。

毎日行われる数々の会議のなかで、意思決定者が出席していない会議はいくつあるだろう? そのような会議は行う意味があるのだろうか?

このように、顧客への価値提供の観点から不要なものをゼロベースで見直すというアプローチを繰り返し続けることで、複雑化を解消していくのである。単に業務や組織を詳細解析して、重複の排除や簡素化を行ういわゆる業務改善、ビジネスプロセスリエンジニアリング(BPR)などでは複雑性は解消しない。一度解消したように見えても、必ずまた増える。本来不要なものを除去しないかぎり、複雑性は消滅しないのである。

その前提となるのは、こうした複雑性の解消に立ち向かえるエネルギーを持ったリーダーの登用である。長い歴史をかけて要塞化された管理的仕組みのなかで、複雑性と闘うことはきわめてエネルギーを要する作業である。そのエネルギーの源泉はコアの事業への思い、こだわりである。したがって、創業時の創業者の目線に立って事業を見つめることのできるリーダー、時にはシステムや仕組みを超えてでも、再現可能なビジネスモデルの遂行に邁進できるリーダーを育成、選出することである。グローバルに通用する経験と地位を持ち、企業としての歴史も長い日本企業の人材の厚みは捨てたものではない。創業者目線を備えた潜在的リーダーの発掘と育成が、日本における「再現可能な不朽のビジネスモデル」の実践のカギである。

最後に

「再現可能な不朽のビジネスモデル」は、日本企業が現在対面している大きな時代的転換や構造的変化を超えて、再度、持続的成長軌道に入るための重要な戦略的アプローチである。そこで求められるのは、時代や構造の変化に応じて、何かまったく新しくて画期的な戦略的打ち手を考えるということではない。むしろ、自らの企業が創業の頃から築き上げてきたはずの、顧客にとって自らをかけがえのない存在たらしめる差別化要因をしっかり認識すること、そして現場が同じ認識や信念を持ち、妥協することなく、顧客に対して差別化された価値を届け続けていられるかという基本的な事柄を、創業者が心を砕いたのと同じような気持ちで見続けるトップの存在が必要なのだ。

さらにつけ加えるとすれば、ここで述べてきたことは、じつはかつて日本企業が強みとしていたことと重なる部分も多い。かつて日本では、「現場主義」という名の下に、現場が聞く顧客の声を真摯に受け止めながら経営の舵取りを行ってきた。ある意味、われわれの主張は、もともと日本企業が持っていた強みを再度強化しようということである。ただし、その強みが発揮されていたのは30年前のことであり、昔の強みをただ復活すればよいということではない。その当時と比較した場合の最大の違いは、顧客である。大きく変わった顧客に対してどのような価値を提供するのか。途方に暮れることはない。その最大の手がかりなるのものが手元にある。それはやはり創業の思い、あるいは創業の頃から綿々と築き上げてきた自社の強さ、資産である。それらの思いや強さに照らし合わせたときに、大きく変化を遂げた顧客に対して何をすべきなのかが見えてくるにちがいない。

いちばんの課題は、創業の思いや自社の強さと顧客の変化というソフトな要素の掛け算を解く、きわめて右脳的な作業ができる人材の育成であろう。30年前は、どちらかといえば製造現場においてエンジニアが定量的に左脳的な作業を継続していくことで、コアとなる能力や差別化を遂げていった。その結果、日本は製造業において世界を席捲し、製造現場を核とする再現可能モデルをつくりあげていった。これから日本の企業がつくりあげなければいけないのは、むしろ、顧客からの恒常的なフィードバックのなかから、新たな商品開発やマーケティング、販売手法を開発するという、顧客接点を核とした再現可能モデルの構築であり、そうした人材を育てるための人材開発に他ならない。


書籍『リピータビリティ』の概要



書名:「リピータビリティ - 再現可能な不朽のビジネスモデル」

著者:  クリス・ズック、ジェームズ・アレン

訳者:  火浦俊彦、奥野慎太郎

発行:  プレジデント社

定価:  本体2,200円+税

目次:  第1章  再現可能な不朽のビジネスモデル
第2章 〔原則1〕明確に差別化されたコア事業
第3章 〔原則2〕絶対に譲れない一線
第4章 〔原則3〕循環型学習システム
第5章 フリーダムかフレームワークか
第6章  「単純さ」の勝利
第7章 日本企業への示唆

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