ケーススタディ
概要
- 企業価値が30億ドルから750億ドルに急上昇
- 株価が4年で4倍に
全文
背景
A社*は業績改善のためにいくつかの事業変革プロジェクトに取り組んでいたものの、競争力を失い続けていました。高い利益を謳歌していた状況から一転、売上と収益が急落し、生き残りをかけた戦いを強いられていました。
A社はフルポテンシャルを発揮できておらず、大規模な企業買収後の統合も未完遂の状態でした。また、ECバブルの際に、A社は投資先をコア事業からインターネット事業へと移し、自社の強みである「製造の自動化と動力技術」から「ナレッジ企業になること」へとフォーカスを変更していました。
更に、販売時点の原価率や利益率を容易にトラッキングできる仕組みが確立されていない上に、役割および責任が不明確なため、経営陣によるタイムリーで効果的な意思決定が妨げられていた、といった課題もありました。
A社が倒産を回避するためには、共通ミッションを掲げ、責任の明確化によって優れた意思決定を可能にする組織の再設計が急務でした。
ベインのアプローチ
A社は、市況の変化に対応できる組織を構築する必要ありました。ベインはCEOおよび上級幹部と協働し、「簡素化された透明性の高い組織づくり」、「役割と責任の明確化」、そして「全社協力体制の推進」という3つの主要な変革に取り組みました。
この変革で、迅速かつ優れた意思決定ができるようになり、結果として売上向上とコスト削減が期待できます。
この変革を達成させるために、ベインは3つのステップを踏んで組織の見直しを実施しました:
現状を徹底的に分析- 組織の強みと成長を妨げている要因を特定
体制の再設計および簡素化 - 同時に、重要事項の意思決定における役割を明確化(ベインのRAPID®ツールを使用)
組織を構成するその他の要素の見直し - 新しい働き方を促進するためのプロセス、測定基準、インセンティブの設定
ベインの提言
ベインは評価結果を踏まえ、5つの領域で組織を再設計し、新たなビジネスモデルの目標を達成できるようにする連携体制を構築することを提言しました。
- 損益に関する全責任はグローバル事業部に負わせ、統合ビジネスとして機能させる
- 営業とオペレーションの分離 - 営業は国内需要に焦点を合わせ、オペレーションはA 社のグローバルスケールメリットを活用する
- バリューチェーン全体で利益/損失率の透明化を図る
- 市場価格に併せ適切に反応できるように価格設定方法を変更する
- 顧客需要に基づいた意思決定を行うため、ローカルの損益を重視する
結果
A社はベインが支援に入った後、5年以内に劇的な業績回復を遂げ、倒産寸前の企業から業界トップへと生まれ変わりました。ベインが当該ケースに着手した当初、A社の企業価値は30億ドルに落ち込んでいましたが、簡素化・集中化を経て、重要な意思決定をより効率的にできる組織となったことで、企業価値は750億ドルにまで急上昇しました。
A社の株価は4年で約4倍になり、これは市場平均や競合を大幅に上回るパフォーマンスです。A社のトランスフォーメーションの成功は、優秀な人材の維持にも繋がり、新たな幹部候補を検討する際も、社内の人材ですべて賄うことが可能となりました。
*クライアントの機密保持のため名称を変更していますが、結果は実際の内容を使用しています。