Press release
戦略コンサルティングファームであるベイン・アンド・カンパニー(以下ベイン、所在地:東京都港区赤坂)は、「ベイン・アンド・カンパニーからの提言 マーケティング投資の真価を可視化─“Growth Investment Optimizer”による ROI 最適化の新潮流」と題したプレスセミナーを2025年9月30日(火)に実施いたしました。本セミナーでは消費財企業に焦点を当て、複雑化するマーケティング投資の意思決定をベインがどのように支援し、ROI の最大化を図っているのかについて経験豊富なパートナーが解説しました。
今回はマーケティング投資について解説しましたが、ベインでは、消費財企業のパフォーマンス改善や市場全体の活性化に資する多様なホットトピックスを扱っており、直近では下記のような事例をご紹介できますので、ご興味がございましたらお気軽にお問合せください。
● ソーシャルマーケティング
● 価格設定と品揃えの最適化
● 既存ブランドの成長再ドライブ
■スピーカー
パートナー 若林 英紀
エキスパートパートナー Tiffany Kwok
■求められるマーケティング投資の可視化
日本の消費財市場は、少子高齢化、消費の停滞、コスト高騰、流通の集中・統合といった構造的な課題に直面しており、限られた資源で成果を最大化する新しい道筋が求められています。このような状況下では、マーケティング投資の最適化がこれまで以上に急務となります。
セミナーの冒頭若林は、近年の日本市場においては、小売の統合による交渉力の増大、市場成長の鈍化・コスト圧力の上昇、広告・販促チャネルの複雑化などの環境要因や、ROIの透明性の要求、顧客ニーズの多様化など様々な要因を背景に、マーケティング投資を最適化する必要性が高まっていると解説しました。
特に小売企業においては集約と効率化が日々進行しており、コンビニエンスストアだけでなく、スーパーマーケットもここ1~2年で急速に集約が進みつつあります。統合による、人材確保や流通の効率化、消費者へのサービス品質の維持、事業継続の担保への圧力と潮流が非常に強く現れていると若林は強調しました。
一方で、統合が進んでいない消費財企業においては、売上の15~25%程度(日本市場全体で5~10兆円規模)にも及ぶ多額の費用をマーケティング活動に投資しており、この金額はGDPの約1~1.5%を占めると若林は指摘しました。
しかしながら、活動や費用が分散・多様化しているため、全体像の把握や効率の良い投資ができていないという現状があります。
ROIが不透明なままでは、企業は成長の余力を失い、小売は売り場や消費者とのコミュニケーション活性化の機会を逃し、消費者は価値が届かず消費意欲が喚起されないという「三重苦」の状態に陥ります。このように、投資の非効率は企業、小売、消費者にまで含めたエコシステム全体に連鎖的な損失をもたらすと若林は強調しました。
■投資可視化の仕組みとその効果:Growth Investment Optimizer
続いてKwokが、マーケティング投資を可視化するベインの独自ツール「Growth Investment Optimizer」を紹介しました。
本ツールはまず、バラバラに管理されがちな広告、販促、キャンペーンなど消費者向けのあらゆるマーケティング活動や投資費用を可視化します。そして、社内外の幅広いデータを統合し、統計的アプローチを用いることで施策ごとのROIを算出し、予算の再配分や実行計画を通してマーケティング投資の最適化を支援します。
従来の分析ツール(MMMなど)との最大の違いは、AIの活用により、データの整備・統合、示唆の要約、配分案の作成が迅速に実行され、意思決定がほぼリアルタイムで反映される点です。データの統合作業も自動で行われ、競合を含む社内外のデータをカバーするだけでなく、ROIの算出も施策別、キャンペーン別、SKU別、地域別といった詳細なレベルで実現します。分析手法も従来の固定化した手法ではなく、目的に合わせて個別にカスタマイズすることが可能です。
本ツールは、マーケティング投資を常時最適化する意思決定のエンジンであると、Kwokは強調しました。
続いてKwokは、本ツールの導入を成功させるための要件として、以下の3点を挙げました。
- 完璧さよりも実用性を重視:必要データの約7割が社内に存在する場合が多く、約7割のデータが揃った時点で作り始め、足りない3割は使いながら揃えていくことが重要です。
- 全社横断での意思決定ツールとしての活用:マーケット施策のKPIを部門間で統一し、施策の優先順位付けの手順を全社で共有します。これにより部門間の議論が噛み合います。
- 常時稼働するダイナミックツールとしての活用:リアルタイムで共有される分析結果を素早く抽出し、施策の再配分を速やかに実行できる運用体制の整備が求められます。
本ツールによる注力領域の特定、配分の再設計、施策を最適化の3ステップで、10~15%のROI向上が可能です。
■ベインが支援したグローバル先進企業での活用事例
続いて若林はベインが支援したグローバル消費財企業の事例を紹介しました。この企業は200以上のブランドを擁し、190カ国以上で展開する巨大企業であり、従来型の分析ツール(MMM)を活用してきたものの効果は限定的でした。本ツールの導入後は、社内外複数のデータソースを統合し、一元化されたマーケティングデータ基盤を構築、そしてROI分析でマーケティングの優先付けを実施、さらにリソース配分のシナリオを構築・評価することで正のサイクルを生み出すことに成功しました。
結果として、デジタルへのチャネル移行や、季節限定キャンペーンのスケジュール最適化、ブランド投資の再配分、アーンドメディアの活用強化などが実現し、マーケティング投資のROIが10~15%向上しました。
セミナーの最後に若林は、ROIの向上は企業の成長を超えて社会の活性化への一助となりうると強調しました。AI等のテクノロジーの台頭によってリアルタイムかつ容易にマーケティング費用の可視化が可能になり、これは投資の質を高めることに繋がります。ROIの可視化で、企業は効率的に資本を活用し、新規事業やイノベーションに資金を再投下することができ、適切な投資判断に基づく施策は消費者に確かな価値を届け、消費を促進します。
また、小売・流通と消費財企業のパートナーシップ関係を強化し、エコシステム全体を活性化させることで、日本経済全体の持続的な成長を後押しする一助となり得る、とセミナーを締めくくりました。
本件についてのお問い合わせ先
ベイン・アンド・カンパニー マーケティング/広報
Tel. 03-4563-1103 / marketing.tokyo@bain.com
ベイン・アンド・カンパニーは、未来を切り開き、変革を起こそうとしている世界のビジネス・リーダーを支援しているコンサルティングファームです。1973年の創設以来、クライアントの成功をベインの成功指標とし、世界40か国65拠点のネットワークを展開しています。クライアントが厳しい競争環境の中でも成長し続け、クライアントと共通の目標に向かって「結果」を出せるように支援しています。ベインのクライアントの株価は市場平均に対し約4倍のパフォーマンスを達成しており、私たちは持続可能で優れた結果をより早く提供するために、様々な業界や経営テーマにおける知識を統合し、外部の厳選されたデジタル企業等とも提携しながらクライアントごとにカスタマイズしたコンサルティング活動を行っています。また、ベインは環境・社会・倫理における企業のパフォーマンス評価を行っているEcoVadisより、全企業の中でも上位1%に位置づけられるプラチナ評価を獲得しており、社会課題に取り組む非営利組織に対し今後10年間で10億ドル以上に相当する無償のコンサルティング支援を行うことを公約しています。
商号 : ベイン・アンド・カンパニー・ジャパン・インコーポレイテッド
所在地 : 東京都港区赤坂9-7-1 ミッドタウン・タワー8階
URL : https://www.bain.co.jp