レポート

リテールバンキングの顧客ロイヤルティ

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リテールバンキングの顧客ロイヤルティ
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概要

  • 2012年版の「リテールバンキングの顧客ロイヤルティ」レポートは、世界の14カ国・地域(オーストラリア、カナダ、中国、フランス、ドイツ、香港、インド、メキシコ、シンガポール、韓国、スペイン、タイ、イギリス、米国)における、15万人を対象とした調査を基に、銀行での消費行動や志向について分析しています。また、それに追加して米国における5,200人を対象にした調査も行っております。(日本については別途独自調査を実施)
  • 顧客ロイヤルティを維持、向上することはますます重要になってきており、それは例えば米国を例にとると、ロイヤルティの高い顧客は、そうでない顧客に比べて生涯価値が1万ドル高い、ということからも裏づけられます。
  • 今回の調査により、オンラインバンキング利用者の急増と、富裕層顧客のロイヤルティの低さが明らかになりました。この結果は、価値の高い顧客セグメントに対してオンライン及び店舗でのサービスをニーズに合う形で開発し、それらのチャネルを独立したものではなく、統合され一貫した顧客体験にしていく必要性を示唆しています。

オンライン取引がより活発に: 誰が、何に対して、どこで感動したか

  • 多くの国で、スマートフォン及びタブレット端末によるオンラインバンキングの利用が増加しています。米国では、オンラインを利用した顧客の割合が、2011年の21%から2012年は32%まで増えています。回答者のうち、2012年にオンラインバンキングを利用したという人の割合は、韓国では47%、インドでは37%、ドイツでは16%でした。
  • 米国においてオンラインバンキングは、他のどのチャネルよりも、顧客が銀行を薦める可能性が高いと言えます。米国の顧客は特に、リモート貯金など機能性の高いサービス好む傾向があり、オンライン端末を使ってすぐに預金残高を確認出来るような利便性の高さに価値を見出します。
  • ヨーロッパとアジアにおいても、ほとんどの国でオンラインツールや電子取引が、顧客がその銀行を薦めるにあたり大きく影響しています。
  • 米国の各銀行がオンライン取引のプラットフォームを構築するにあたり多大な投資をし、オンライン利用率が増え始めています。
  • ほとんどの国・地域において、25歳から35歳の顧客グループがオンラインを頻繁に利用する主要顧客層となっております。ただし、米国においてオンライン利用客の伸び率が最も多いのは、36歳から45歳の顧客グループという結果が出ております。
  • 電子取引は、単に日々の作業が効率化されることによる感動を生むだけではなく、正しく処理が出来れば、コスト高な直接取引から一定の量を転用することが可能です。米国の銀行の支店における取引の9割がルーチン業務である中、この割合は毎年5~10%減少しております。顧客がオンライン取引に移行していくに従い、約半数の顧客は支店への来店頻度を減少させると回答しています。
  • オンライン機能の充実は、ロイヤルティの高い顧客を獲得する上で効果的な一手となります。このことからも、銀行はオンライン取引が他社との差別化を図るサービスとして取り扱われている今のうちに、ロイヤルティの高い顧客をつなぎとめるための投資を行うべきと言えます。

富裕層顧客を維持するためには

  • 米国及びヨーロッパの多くの国において、富裕層の顧客は中間層の顧客と比べて低いロイヤルティを示しています。米国のナショナルバンクは、富裕層顧客のロイヤルティが特に低いという結果となりました。
  • 一方、アジア各国やメキシコ等の新興国においては、富裕層向けのサービスを通常と分けて開発していることから、富裕層からも高いロイヤルティスコアを獲得しています。
  • 富裕層顧客は通常、プレミアムなサービスやカスタマイズされたサービスを求めており、単なるデジタル化による利便性向上ではなく、個人的な関係構築を求めています。
  • 富裕層の顧客を、批判者(デトラクター)もしくは中立者(パッシブ)から推奨者(プロモーター)に変えることは、中間層の顧客を同じように推奨者(プロモーター)に変えることに比べて5倍の経済価値があります。

今後目指すべき姿は オムニチャネルの活用

  • もしも銀行が、通常の直接取引に必要な様々なプロセスを効率化させ、それにかかるコストを削減することが出来れば、それらの費用を富裕層向けの高い利益を生み出すサービスに投資することが出来ます。それを実現させるためのアプローチが、オムニチャネル(複数チャネル)の活用です。デジタルと店舗チャネルを融合させ、各顧客セグメントに対してカスタマイズされた、一貫したサービスを提供することが求められています。
  • チャネルの変革は、限られた行員が多くの顧客を対応できるようにするレバレッジ型で進化をしています。例えばアジアや米国の銀行では、ビデオチャットなどにより、サービススペシャリストが顧客を遠隔でサポートできるようなサービスを展開しています。支店の行員をビデオ通話担当にシフトすることにより、コストを削減し、顧客対応の時間を増やすことが出来るのです。
  • オムニチャネルの世界において、支店は従来とは異なる役割を担うことになります。ただ単に取引の処理を行う場ではなく、サービスのショールームやセールスセンターのように、エキスパートが複雑な問題の解決にあたったり、金融に関するアドバイスを助言したりする場になります。

顧客ロイヤルティを、経済性向上につなげる

  • 銀行が、顧客の高いロイヤルティを経済的な効果につなげる上で苦戦しているのは、全ての顧客に対して同じアプローチをとっているからともいえます。われわれの調査結果は、こういった状況において非常に重要な次のステップを示唆しています。
  • 価値が必ずしも高くない顧客セグメントに対するサービスは可能な限り効率化し、価値の高い顧客層に対する差別化のために投資する
  • 価値の高い顧客セグメントに対して、カスタマイズされたサービスやチャネルを効果的に提供する
  • マスマーケットの利益を獲得するために、他社に先駆けたチャネル再構築を早急に行う
  • 顧客ロイヤルティ指標のスコアの向上にとどまらない、現場の顧客の声を、日々の経営に反映させるための一連の運営システム(ロイヤルティシステム)の構築を行う

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