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M&Aレポート2019 Vol.1:破壊的変化の波が押し寄せる中でも成長するためのM&A
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今回のベインの調査によれば、産業の破壊的変化がM&Aのあり方を変え、「スコープディール(特定のケイパビリティ獲得や新たな製品やサービス部門の開設のためのM&A)」の件数が「スケールディール(企業の規模拡大、あるいはコストのシナジー効果創出のためのM&A)」の過半数を初めて上回りスコープディールが、成長しつづけるための有効な手段となっていることが判明しました。

多くの企業が成長目標の達成に苦戦している中、テクノロジーの進化や有り余る資本と政府の介入など多くの要因から、2018年は破壊的変化の一年となり、このような市況で、M&Aは成長し続けるための有効な手段になっています。2018年は、世界の戦略的買収価格が過去最高に迫る3.4兆米ドルとなり、前年の2.9兆米ドルを大きく上回りました。また、M&Aのあり方そのものも変化を遂げました。昨年新聞の見出しを飾った買収のうち、特に高い買収価格で取引された多くのディールが、「スケールディール」ではなく「スコープディール」であり、これらのディールが戦略的買収案件全体の51%を占めました。これはM&A業界にとって、過去10年間で最も大きな変化であるといっても過言ではありません。成長イニシアティブや新しい能力構築のために投資する際、『自分たちで開発するのか、それとも買うのか』という昔からの課題に対し、より多くの経営者がM&Aによる解決を図っていて、今後もこの傾向が継続すると見込まれます。

スコープディールのなかでも、2015年には戦略的買収案件全体の2%しかなかった「新たなケイパビリティの獲得」を目的としたM&Aが大きく増え、2018年にはおよそ15%を占めるまでに成長しました。また、新たなケイパビリティ獲得のための買収の3分の1近くはデジタル化を促進するための買収で、急激なデジタルディスラプションに直面している様々な企業が活発にM&Aを行いました。さらに、ベイン・アンド・カンパニーの過去20年間にわたる調査より、M&A経験をより多く積み、成功パターンを見極め、再現可能なM&Aケイパビリティを有するに至った企業は、より高い株主利益率を創出していることが分かりました。世界中の1,729社における調査結果より、頻繁に買収を行っている企業は平均的な企業よりも高い総株主利益率(TSR)を実現しています(平均年間TSRが6.9%であるのに対して、頻繁に買収を行っている企業の年間TSRは7.7%)。頻繫に買収を行うことに加えて、より大型の買収を行うケイパビリティを得た企業ではさらに高いパフォーマンスを上げていて、年間TSRが9.2%にも達していました。成長のためにスコープディールを成功させるためには、企業自ら統合の戦略を変更し、新たな枠組みに自社を適応させていく必要があり、高度なケイパビリティが求められます。

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