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在庫管理の健康状態を診断する10の質問

在庫管理の健康状態を診断する10の質問

  • 2011年7月6日
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在庫管理の健康状態を診断する10の質問

* 原文はWSJに掲載されていました。

CFOをはじめ、経営幹部であれば誰しも、在庫管理の重要性をよく認識しています。

しかし、最も注意深いマネジャーにとってすら、在庫の状況をよく把握し、在庫水準を適正に保つことは容易ではありません。外部ベンチマークに頼るケースも散見されますが、それにより有益な示唆を得られることはめったにありません。そのため、実務上の意思決定においては、しばしば誤った判断を下してしまうのです。

在庫管理に関しては、以下の2つの思い込みが根強く浸透しています。

1. 在庫削減の最も有効な方法は、販売予測精度の向上である。
2. 顧客サービスを強化するためには、在庫を増やす必要がある。

しかし実は、これらの思い込みはいずれも、在庫の過剰または不足を招きかねません。

多くの経営者が認識しているように、在庫を適切な水準に保つことは、それがコスト管理につながるだけでなく、企業全体の健全性のバロメーターにもなるため、非常に重要です。例えば卓越したサプライチェーン機能を有する企業では、洗練された分析手法の導入により、在庫水準を最大20%から50%程度改善させ、結果として複数年に渡るコスト削減効果を創出しています。

ベインでは通常、在庫管理の健康状態を診断する10の質問をクライアントに投げかけます。これらは在庫削減プロセスの有効性と精緻さ、およびそのカバー範囲を評価するように設計されています。

 1)在庫水準を、安全在庫、補充用在庫、余剰または不良在庫の3種類に分けて把握できているか

このような在庫の見方により、3種類それぞれの適切な在庫水準に関する経営判断を下しやすくなります。つまり、これによりサプライチェーン上の種々の問題(製造の不具合、流通の不確実性等)に対する保険としての、安全在庫の最低水準を決めやすくなり、顧客からの発注に応えられる確率が高まるのです。また、定期配送により補充が必要な在庫量を特定するのにも有用です。さらに、余剰在庫や不良在庫の積み上がりを回避する方法を見つけるのにも役立ちます。

2)安全在庫水準の算定に効果的な手法を使用しているか

  • 販売予測精度、必要な製造リードタイム、製造スケジュールの順守率、および各SKUのサービスレベル設定情報を組み込んだ統計的計算式を使用しているか
  • または、「A, B, C工場で作られた製品は15日間の安全在庫が必要である」などの経験則を用いているか

経験則に依拠することの問題は、最も不確実な納品実績を持つ製品に合わせて安全在庫が設定されていることが多いということです。 効率的なオペレーションでは、個別の製品についての実績を取り入れた標準的な統計的計算式を使用します。

 3)安全在庫水準を定期的に再計算し、常に最新の状態に保たれていることを確認しているか

卓越したサプライチェーン運営においては、安全在庫水準を3-6ヶ月ごとに再計算し、最新の正確な情報に基づいて意思決定が行われるようにします。

 4)顧客へのサービスレベルと効率的な在庫水準の最適なバランスなど、在庫関連のポリシーに関する重要な意思決定を行うのは誰か

在庫水準に関する意思決定は戦略的に重要であることが多いので、供給部門に任せきってしまうのではなく、在庫管理に関する本質的課題に関しては経営幹部が強いリーダーシップをとる必要があります。そこで対象とすべき範囲は、製品ラインナップの幅や複雑性、製造・物流拠点の最適化に至るまで、多岐にわたります。

 5)製品の製造や発注に最適な頻度を決定しているのは誰か

  • 部署横断のチーム
  • 生産計画担当者や調達管理者のみ

効果的な在庫計画には、種々の要因が影響します。 たとえば、マーケティングキャンペーンは調達活動そのものと同じくらいの大きな影響を及ぼすことがあります。ですので、部署横断のチームが生産・調達スケジュールを設定する必要があります。一般的には製造チームが生産コスト最小化を重視して生産計画を立てることが多いですが、部署横断のチームがS&OPプロセスを通じてサプライチェーン全般にわたる多くの要素を勘案することで、補充在庫を50%削減しつつも、重要なキャンペーンにおいて適切な商品を適確に供給できるよう算段することも可能なのです。

 6)工場や供給組織だけで決定されていないとしても、発注・生産頻度をどのように決定しているか

発注と在庫生産の頻度は、理想的には、2つの要因を加味して決定すべきです。ひとつは、在庫や切り替えコストなどの全体的なコストを最小限に抑えること。もうひとつは、関係者間の交渉頻度をベースとしつつ、販促計画および悪天候などの不確実性を考慮に入れることです。

 7)継続的改善プロセスの一環として、最適な発注・生産の頻度が定期的に計算されているか

在庫の削減を実現したら、次に継続的な在庫削減のための新しいプロセスを導入する必要があります。 ベインでは、継続的在庫削減を実現するための最も効果的なポイントを明確にする分析ツールを使用しています。 それにより、たとえば「販売予測精度を70%から75%に向上させる活動よりも、アジアのサプライヤーからの調達リードタイムを短縮するためのタスクフォースを立ち上げる方が効果的である」といった示唆を得ることが可能です。

 8)余剰在庫や不良在庫を定期的に把握できるようになっているか。またそれが、在庫の売却や削減といった具体的な対応策につながっているか

通常、余剰在庫や不動在庫は、販売予測の不正確さやプランニングの稚拙さ、また製品の複雑性やライフサイクルが適切に考慮されていない事業運営モデルなどにより発生します。 在庫管理に長けた企業では、余剰在庫が発生する原因を突き止め、それを売却する計画を策定するプロセスを確立しています。その反対が、除却損を恐れるあまり不良在庫が大きく積み上がってしまうようなケースです。

 9)余剰在庫や不良在庫の根本的な原因分析を行い、その発生を抑制する対応策とのつながりを理解しているか

効率的な在庫管理を行っている企業では、相互に連携する2つのタスクフォースを組成します。 第1のタスクフォースは根本的な原因(root cause)を特定し、余剰在庫・不良在庫の発生を抑制する方法を決定します。そして第2のタスクフォースは、その在庫をより効果的に売却する方法を検討します。 そのタスクフォースが余剰在庫・不良在庫の筆頭となっている品目のリストを営業部門に提供し、それらの特定品目において適切に割引販売が行われるよう担保するのです。

 10)上記の業務運営プロセスを、すべての在庫(完成品、原材料、仕掛品および予備品)、およびすべての組織に適用しているか

供給組織が犯しがちな最も一般的な間違いの1つは、主要な倉庫に保管されている完成品という、全体の在庫量のごく一部分だけに意識を集中してしまうことです。実際には、そこで捉えられない原材料、仕掛品、スペアパーツ、また店頭在庫などを合計すると、総在庫量の50%を占めることがあるのです。その結果、在庫削減機会を逸することになります。組織に散在する全ての在庫を可視化することが、在庫削減方法の優先順位付けに役立ちます。その上で上記で議論した全ての在庫管理手法を適用します。

以上の10の質問の全てに答え、在庫管理の健康状態を診断することで、コスト・資本効率を向上し、売上機会損失を防ぐ大きな可能性を得る準備ができることでしょう。しばしば見過ごされがちですが、在庫の健康診断は企業の財務健全性を向上させる非常に大きなレバーとなりうるのです。

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